2013.3.21 thu.

議案第６号　　平成２５年度富山市一般会計予算（案）

　　第１２号　　平成２５年度富山市国民健康保険事業特別会計予算（案）

　　第３０号　富山市特別職の職員の退職手当支給条例の一部を改正する条例制定の件

　　第３１号　富山市職員の給与に関する条例及び富山市公営企業職員の給与の種類

　　　　　　　及び基準を定める条例の一部を改正する条例制定の件　

　　第３２号　富山市職員の退職手当支給条例等の一部を改正する条例制定の件

　　第４０号　富山市国民健康保険事業の一部を改正する条例制定の件

　　第４１号　富山市スポーツ施設及び富山市富山南総合公園文化体育施設条例の

　　　　　　　一部を改正する条例制定の件　反対討論

日本共産党　赤星ゆかり

　ただいま議題となっております議案第６号 平成２５年度富山市一般会計予算案、及び第１２号、第３０号、第３１号、第３２号、第４０号、第４１号の以上７件について、一括して、日本共産党の反対討論をおこないます。

　新年度予算および関連する条例案の中で、私たちも求めてきた、地鉄不二越・上滝線の活性化推進等公共交通の利便性の向上と活性化、スケボーやBMX・インラインスケート・ダンスなど若者のストリートスポーツができるスポーツパークの整備、市独自のスクールソーシャルワーカーの増員や待遇改善など、市民の要求にこたえた個別の政策の前進や評価面はいくつもあります。そのおもな点については一般質問や委員会審査のなかでできる限り意見を述べましたが、全体として反対の理由を述べます。

　国では、安倍自・公政権の経済政策「アベノミクス」の効果が礼賛される風潮がありますが、中小企業や市民生活には恩恵が全く実感されていません。それどころか、収入は増えないのに物価だけ上がったらどうなる、さらに消費税増税なんて、とんでもない、という不安が膨らんでいます。実際に、灯油や野菜など生活必需品の値上がりによって、社会保障や税の負担増とあわせて、くらしが痛めつけられています。命と健康が脅かされています。

　このようなとき地方自治体は、「住民の福祉の増進を図ることを基本とする」、地方自治の精神に立ち返るべきです。

　日本共産党が行なっている市政アンケートは、回答数が５００通を超えました。そのおもなものを紹介すると、

●３〜４年前と比べて、くらしは

　「悪くなった」６５％、「変わらない」３１％、「よくなった１．５％」

●くらしが苦しい原因は、

　物価の値上がり、仕事や年金の減少、国保料・介護保険料が高い、介護費の負担増、具体的には「スーパーナシ、医者ナシ、銭湯ナシ」など

●合併して「良くなった」６％、「悪くなった」３５％、「どちらとも言えない」５９％　自由書き込みには「旧富山市の中心事業に偏っており、弊害が多い」

●中心部の再開発事業など、大型・重点事業の推進について

「賛成」２４％、「反対」４１％、「わからない」３５％、などの回答結果です。

　昨年の決算に対する討論で、市民の所得が減り、富山市内の小売業における消費が５年で４４６億円も落ち込んだ事実を指摘し、市民の所得を増やし、家計をあたためる施策こそが求められると提言いたしましたが、それが新年度予算編成にどう反映されたでしょうか。

国保料値上げ

　国民健康保険料は、昨年度１３．９％値上げされ、今年は介護保険料、保育料が値上げされました。市民税や後期高齢者医療保険料も上がり、年金は引き下げ、子ども手当の削減と、あらゆる負担増によって、くらしが直撃されてきました。富山市はこうした負担増から、市民のくらしをまもる防波堤となり、市民のくらしをまもるべきです。ところが新年度は国保料また５．９６％の値上げです。さらなる負担増に反対です。

大型開発事業最優先から、身近な生活関連公共事業重点に転換を！

　森市政になってから、西町や総曲輪、中央通りの７つの再開発事業が完成し、総事業費は約３２５億円、うち、国・県・市の補助金と保留床取得額など税金が使われた額は約１６０億円です。今後も、計画が公表されているだけでも５カ所の市街地再開発事業、いまわかっている２カ所だけでも、２００億円に近いか超えるかの税金投入が必要と見込まれます。

　３月補正予算では、主に個人市民税などの一般財源を「都市基盤整備基金」に約６億３千万円積立て、それをそっくり新年度に取り崩して、中心部の大型事業関連に充てられます。「新幹線開業を見据えて」急がれる、大型事業予算が、市民生活を圧迫していることは明らかです。

　学校や市営住宅など公共施設の耐震化促進、小中学校へのクーラーの設置、浸水対策の河川水路の改修や、側溝の改修や、防犯灯の設置等々、緊急性、優先度の高い、市民要望の多い、身近な公共事業の発注で、地域経済が潤う仕事を重点にすえるべきです。

また出た、大型店「呼び込み方式」！！！

　まちづくりとしても、「中心市街地」に家電・セレクト雑貨・衣料等の量販店、アミューズメント施設など大型商業施設を誘致するために、最大１億円を出すという新規事業は疑問です。「賑わい」とは、たんに大勢の人が詰めかけることなのか。大型店、ロードサイド店の多い郊外と、まちなかも同じ顔のまちづくりか。大手企業本社に、富山市民が消費したお金が吸い上げられて行き、富の一局集中が加速します。大型店は、儲からなければ撤退します。こういう外からの大企業や大型店「呼び込み方式」にたよるまちづくりの手法はすでに過去のものです。

　一部で拡充されたソフト事業への支援のように、商店街や商業者、市民の発想と主体的な取り組みをもっと支援し、富山らしい個性的で内発的な、地域内再投資の可能なまちづくりをめざすべきです。このままでは、街の「富山らしさ」がどんどん消えてなくなっていくのではないでしょうか。

フラワーハンギングバスケット等に５７５０万円

文化もまちづくりも全体として「トリクルダウン」発想！

　「フラワーハンギングバスケット」にまつわる議論の中で、市長は（カナダや南米など）海外の、花が豊かな都市景観が素晴らしかったとお話されました。また、中央の有名な学識経験者から「都市デザイン」で高い評価をいただいていることも述べられました。

　「選ばれる都市」というのは、外向け目線です。市民においてどう評価されるかよりも、外へ外へと目が向いているように思えます。

　富山市に暮らす市民ひとりひとりのくらしを安心できるものにひきあげていくこと、さらに豊かにすることがまず第一ではないですか。

　市民生活の現状に心を寄せる姿勢が感じられないのが、ほんとうに残念です。

　「花でつなぐフラワーリング事業」の「フラワーハンギングバスケット」は、道路の照明柱等に設置のもの１８５カ所で５４２０万円、１カ所当り２９万２千円。市庁舎正面の壁を飾るだけでも２００万円もかけるのは、信じられないものです。

　市民のみなさんから、「花はきれいだけど、費用を聞いて、だんだん腹が立ってきた！」「フラワーハンギングバスケットや（青い）レンタル自転車は、維持費においてびっくり」「当初より疑問視しており、『冗費』であると思っておりました」

などのご意見、多数寄せられています。

　市長は、「フラワーハンギングバスケット」で、街に花があることによって「やがて文化が生まれる」のだ、ともおっしゃいました。

　市民は工夫して、花の苗や種から育てたり、お金をそんなにかけなくても、季節の花を楽しむ文化は街に、くらしのなかに、息づいています。

　富山市の中心部に元々ある植栽や街路樹は、山茶花、レンギョウ、沈丁花、ユキヤナギ、柳、桜、ケヤキなど、季節ごとに自然の変化を見せてくれる美しい自然を生かした、素晴らしい園芸文化があるではないですか。

　自然の季節のうつろいに敏感な街であっていいではないですか。それが雄大な立山連峰と、もっともマッチする富山らしい文化につながっていくのではないですか。文化は、上から押しつけても育つものではないと思います。

次に、

市の一般職員の退職金大幅引き下げ、住居手当の廃止に反対です。

　これは昨年１２月国会でドサクサまぎれに可決成立させられた国の押しつけで、３年かけて一人約４００万円も減額して行くものです。一人一人の所得を増やすことが大切だ、ということは、市長も、安倍政権もすでにお認めです。それにも逆行します。

市長の退職金４年で２５００万円、１１年３ヶ月で８０００万円

　市長は、このような国の理不尽な押しつけに心を痛められ、特別職も知らん顔はできない、というお気持ちだと、議会答弁でうかがいました。もっともだと思います。しかしながら、市長の退職金は、今回支給率を0.6から0.5に引き下げられたとはいえ、この４年間で２,５８０万円、通算１１年３ヶ月で８,０５７万８,４４０円という退職金支給は、市民の納得が得られるものとは考えられません。

次に、

市のスポーツ施設使用料の値上げに反対です。

　公営のスポーツ施設は、民間のスポーツクラブとは違って、手頃な料金で気軽にだれでもスポーツを楽しむことができる施設です。市民はそのことで健康を維持・増進し、仲間と交流し、医療費の増を抑え、明るい社会生活にもつながっていくもので、国民のスポーツ権を保障するものです。今回、適正な維持管理のために、使用料のおおむね１０％値上げと、無料の施設の有料化が提案されていますが、値上げの総額は約１４００万円。税金の使い方を見直せば、値上げは必要ありません。

学校給食の「単独校調理場の調理・洗浄業務を民間委託」する件に反対です。

　新年度に初めて３校を対象に導入されますが、これによって調理員の人件費を中心に年間１８８０万円の削減と言いますが、「フラワーハンギングバスケット」の６５カ所分、市長の４年分の退職金の７３％です。正規職員の採用を再開し、子どもたちの給食をつくる専門職は、市が責任をもって確保すべきです。

議会費の「国際交流事業費」「会議出席費用弁償」について

申し上げます。

　市民アンケートに寄せられた回答で、「市会議員に望むこと」でもっとも多いのは「行政のチェック」と「ムダをチェック」です。

　「本市をとりまく財政状況はきびしい」先ほども言われました。そう言って、市長の提案にはすべて賛成してきた議員・会派のみなさんが、改選後のだれが行くおつもりなのか、公費で海外視察費を確保しようとするのは、市民にどう説明なさいますか。　

　議会費には、全国市議会議長会主催の「米国・カナダ都市行政調査団」参加に、議員２名分で１５３万円余りが計上されています。“視察”の必要性や目的もはっきりしていません。予算から外すよう改めて求めます。

　議会の会議出席費用弁償についてです。

　市民の代表機関の議員として働かせていただいている私たち議員は、議会の会議に出席するのは当然の仕事であり、月額６０万円の議員報酬が支給されています。その上、本会議や委員会に出席すると、議員１人１日一律４，０００円の「費用弁償」が支給されるというのは市民感覚で到底納得できるものではありません。

　アンケートでも「報酬の二重取り」「民間ではあり得ない！」「だまって座って１日４０００円か」と、批判の声が続々と寄せられています。全国でも見直しが本流であり、日本共産党は、廃止または交通費実費程度に見直しをと主張してきました。ところが逆行して、今年度から支給対象の会議を拡大、予算化され、新年度もそのまま６７７万円計上され、反対です。

　そのような予算があったら、議会のネットやケーブルテレビでの中継、議会報の点字版や音声版の作成や、委員会記録の全面公開など、市民に開かれた議会改革に使うべきです。　

　このような予算案と関連条例案には、見直しを求め、地方自治の本旨に立ち返り、市民のくらしに寄り添い、市民の願いにこたえる市政と議会への大転換を求めます。議員のみなさんに呼びかけ、以上、反対討論といたします。