『機体運用システム』

 

0,機体の素材(アルケメタル)について

本項では機体の運用システムに入る前に機体に使用されている素材

「アルケメタル」について現状把握されていることを解説する。

 

-1,アルケメタル

「機体」の装甲を構成する特殊な金属物質。異常なまでの強度、硬度を誇り、

アルケメタル以外の現存物質では傷一つ付けられず、削ることすら叶わない。

また、召喚された機体のアルケメタルは生物の感情・体力などを媒介に周囲の魔導力を

瞬時に励起、そして魔導力を鎮静状態から回復させることが確認されている。

 

-2,アルケメタルの強度について

「アルケメタル」という物質の正体は未だ不明ながら、その強度の理由については

少しずつ明らかになって来ている。アルケメタルは外部から圧力を受け、

その結晶構造に変化が生じそうになった時、周囲の励起した魔導力を「使用して」

その外力を分散、自己の変化を防ごうとする。この際に生じる過剰な魔導力の使用が

機体の「ダメージ」となると考えられている。

 

-3,繊維状アルケメタル

機体の関節などの駆動系を構成している特殊なアルケメタルのこと。強度は通常の

アルケメタルには劣るが非常に高い伸縮性、柔軟性を兼ね備える素材である。

主に機体の伝達系に使用されている。ナイトデュエルにおける機体の「破壊」は主に

この部分が破断することによって発生する。

 

-4,下位性アルケメタル

アーキタイプを持つ機体の外殻を覆う低強度のアルケメタル。維持に必要な魔導力は

少ないが衝撃を受けた際の魔導力消費が高い(=防御能力の低下)

 

 

1,機体の基本構造

機体は大まかにセレスティアルセグメンタ、装甲系、伝達系の三つの部分で

構成されているとされる。以下でその解説を行なって行く

 

-1,セレスティアルセグメンタ

機体を召喚する「あちら側」と機士の精神領域を繋ぐ「仮想存在」。

これを定義することで機体に関係する諸々の事項を解説できるため、現在便宜的に

用いられており、機体を召喚した機士の体を管理する役割を果たすと同時に、

機体自体を「記録する」存在だとされる。

なおセレスティアルセグメンタの破損はその機体が破壊されることと同義であり、

重度の破損が生じた場合二度と「同じ」機体を召喚することは出来なくなると考えられ

ている。これは機体が極端な暴走形態を経験した機士が機体を召喚できなくなると

言う事例から提唱された考えであり、暴走に伴う感情のオーバーフローが破損を

引き起こすとされるが、研究は難しく現在は推論の域を出ていない。

 

-2,装甲系

アルケメタルで構成された非常に硬い外骨格。また、内部の基礎フレームの事を指す。

硬度の関係からこの部分が通常状態で破壊されることは少ないが、万が一破壊された

場合は戦闘が終了するまで破損部位が回復されることは基本的に無い。

 

-3,伝達系

機体の運動そのものに関わる部分、繊維状アルケメタルによって構成され

かなりの伸縮性、柔軟性を誇る。これが装甲系の内部で機体を物理的に動かす。

 

 

2,機体駆動のための基本システム

-1,駆動原理について

機体はヒトが呼吸するように魔導力を周囲から吸収し、内部で励起させることで

動力とする。これについては魔導力が普遍物質であるため、周辺空間内の魔導力自体

の枯渇は発生せず、また機体が常時周囲の魔導力を回復させるため全てが

鎮静化してしまうこともない。しかし、魔導力を励起状態にするためには

機士の体力・精神力を消費するため、そこにおいて機体の「駆動限界」が発生する。

そのため大量の魔導力の励起を必要とする強力な術技、アタックモード、

リバイブモードの使用はそのまま体力・精神力の大幅消費につながることとなる。

 

-2,機体と機士の連動について

通常の場合、機士と機体とは連動する、つまり機士の意志に従うとされている。

これは機体が明確な人型をとっていない場合でも同じであり、機士自体が自身の

機体についての明確なイメージを持ってさえいれば機動に何ら支障は無い。

 

-3,機体と変換効率(燃費)について

前述の通り機体は機士の思うがままに動く。しかし、そこには変換効率という

制約が存在している。これは機士自身の意志の力、魔導力、機体の駆動との

連動に関する事項であり、言うなれば機体の「動かしやすさ」である。

例えば効率の悪い機体の場合、機動の際に通常時に身体を動かすよりも

多くの体力・精神力を消耗してしまうことになる。

また、この燃費はアーティファクトやエレメント等を実装する事でも変化し、

その後の戦闘にも大きな影響を及ぼすため、人によっては機体の性能の中でも

最も重要な要素であるとも言う。

 

-4,推進システムについて

機体の推進ユニットには励起した魔導力が使用される。物体に干渉する励起状態の

魔導力の特性を活かし、それを噴射することで推進力を得るのである。

また、この原理のため、空中、水中、地中のどの場所においても均等な出力を

得ることが出来る他、特化推進も可能である。

 

-5,アーティファクトについて

通常機体はそれ自体で完成しているが、中には「アーティファクト」という追加武装

を有する者もいる。アーティファクトは機体の性能を増幅強化させることが可能となるが

魔導力の制御が難しくなるため、使用する機士は少ない。

 

-6,機体の『属性』について

「属性」とは機体の基本的な性能傾向を示すものである。提唱者は不明ながら今では

一般的に広く用いられている。また性能傾向であるため、属性ごとに他の属性への

得手不得手がある訳ではない。属性は全部で五つに分類され、

「木」の属性の機体は機動性、

「火」の属性は攻撃出力、

「土」の属性は耐久力・魔導力、

「金」の属性は防御力、

「水」の属性は行動精度

にそれぞれ重点が置かれた機体となっている。

 

 

3,機体同士での戦闘

 

-1,戦闘の開始について

戦闘は機士同士の間でしか発生せず、また機士の同意によって発生する。

また、戦闘の際にパーソナルフィールドの発生が無い場合、

自動的にオートプレパレーションによって絶対空間が発生し周囲への被害を押さえる。

 

-2,機体と機士へのダメージについて

機体とは機士の身体と同一の存在である。しかし、機体が受けたダメージを

機士がダイレクトに受けている訳ではない。ナイトデュエルにおいて機士が受ける

ダメージとは、実際のダメージではなく「斬られた痛み」「殴られた痛み」と言った

「感覚的なダメージ」なのだ。またダメージはアルケメタルの結晶構造の維持のために

励起した魔導力を消費する事となるため、結果として駆動限界に近づくのである。

以上の理由から、万が一機体の一部が切り落とされても、その瞬間に酷い痛みを伴う

だけで、召喚解除後に機士の身体が機体の様に切り離される訳ではない。

しかし例外的な事例もあることだけは念頭に入れておくべきだろう。

( →ボーダーアブソープション(別項) →テリトリーブレイク(別項) )

 

-3,アタックモードについて

アタックモードとは全身の武装を集中させて発動させる高出力戦闘形態の

通称である。しかし、実際はその様に単純な物では無いとも考えられている。

今回はアタックモードの原理を考えるに当たり、

二種類のアタックモードシステムを提唱しつつ考えてみたい。

 

--1,開放型アタックモード(アタックモード)

アタックモードは絶大な出力を誇る攻撃形態である。

これは武装を一点に集中させることによってアルケメタルが励起させる魔導力を一点に

集中、開放する事でこの出力を得ている物と推測される。

だが、この原理は「アタックモードの発動には武装の合体は絶対条件では無い」ことを

暗に示しているとも言える。

要するに全身を覆っているアルケメタルを召喚するのに使用している魔導力を、

組成を維持しつつ意識的に一点に集中させる事が出来れば、

原理上『アタックモード』は発動可能なのである。

尤も、目まぐるしく変わる戦況の中、精神を集中させるよりも自分にとって

「分かり易い形」であるアタックモードを形成する方が確実であるし、

現実的とも考えられる。

 

--2,回帰型アタックモード(リバイブモード)

そして、次に述べるのがアタックモードの異なる可能性「回帰型アタックモード」仮称

「リバイブモード」だ。これは先の原理に基づいて一部の機士によって考案された

形態であり、通常 集中させてから外部に「放出していた魔導力」を、機体自体に

「回帰させる」ことによって瞬間的に機体の基本性能を爆発的に上昇させるシステムで

ある(精神・体力への負担は通常のアタックモードの継続使用時と大差ない)

通常のアタックモードと異なり、状況に応じて様々な運用が可能である点から

有用性は高いとされているが、通常とは異なり使用と同時に出力される訳ではない*1

ことに加えて使用の際には機士自身が爆発的に強化された機体の

「明確な動くイメージ」を抱けなければ能力を完全に引き出す事は出来ないため、

機士自身にも鍛錬が必要となる。故に完全に使いこなせる機士の数も少なく、

研究は進んでいないのが現状である。

 

*1リバイブモード発動後にその魔導力を外部に放出すれば、アタックモード並みの範囲や攻撃力を得る事も可能。但し当然リバイブモードの継続時間を大幅に削る事になる